「太陽光発電の点検って、法律で決まっているの?」——設置してから何年も点検をしていないオーナーの多くが、こう疑問に思っています。結論から言うと、事業用の太陽光発電設備には、法律上、保守点検・維持管理を行う義務があります。この記事では、その根拠となる改正FIT法の内容を、専門用語をかみ砕いて解説します。
FIT制度と「改正FIT法」とは
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務付ける制度です。太陽光発電の急速な普及を後押しした制度ですが、その一方で「設置したまま放置される発電所」が社会問題化しました。
これを受けて改正された再生可能エネルギー特別措置法(通称:改正FIT法)では、発電設備の認定を受ける事業者に対して、適切な事業計画の策定や、設備の保守点検・維持管理を行うことが求められるようになりました。
何が義務付けられているのか
改正FIT法のもとで求められる点検には、大きく分けて2種類があります。
- 日常点検(設置者自身が実施):パネルの汚れ・破損、雑草の繁茂状況などを目視で確認するもの。専門知識がなくても行える範囲の点検です。岡山県も、毎月の発電量を前年同月と比べることや、機器の外観異常・異音・異臭を確認することを呼びかけています。
- 定期点検(専門技術者が実施):専門の技術者による、より詳細な点検。パネルの発電性能や配線、架台の状態などを専門的にチェックします。
点検の頻度について、法律が具体的な回数を定めているわけではありません。日本電機工業会と太陽光発電協会の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」が、住宅用では設置1年目・5年目と9年目以降4年ごと、10kW以上の一般用電気工作物では4年に1回以上、50kW以上では届け出た保安規程に従う、という例を示しています。
なお、出力50kW以上は自家用電気工作物にあたり、電気事業法にもとづき保安規程の届出と電気主任技術者の選任(または外部委託承認)が別途必要です。「FIT法上の点検」と「電気事業法上の保安管理」は法的根拠が異なる点にも注意が必要です。
点検を怠るとどうなるか
義務付けられた点検・保守を行っていないと判断された場合、行政による指導や改善命令の対象となる可能性があります。改善が見られない場合には、最終的にFIT認定が取り消されるケースもあり、その場合は固定価格での売電ができなくなります。
また、点検義務とは別に、点検を怠ったこと自体が事故につながるリスクも忘れてはいけません。配線の劣化や架台のサビを放置した結果、漏電や火災、パネルの落下事故が起きた事例も報告されています。
「義務化されている」ことと「点検を受けていない」現実のギャップ
制度としては点検が義務付けられているにもかかわらず、実際には設置から一度も専門点検を受けていない発電所が多く存在します。理由としては、次のようなものが挙げられます。
- 施工会社が点検までは案内してくれなかった
- 何から手をつければいいか分からず後回しにしている
- 「今のところ問題なく発電しているから大丈夫」と思い込んでいる
しかし、発電量の低下や設備の劣化は、外から見ただけでは気づきにくいものです。制度上の義務であることに加え、売電収入を守るという実利的な観点からも、点検は先延ばしにしないことが重要です。
まとめ
改正FIT法により、事業用太陽光発電設備には日常点検と定期点検が義務付けられています。怠った場合は行政指導やFIT認定取消のリスクがあるだけでなく、事故や売電収入減少にも直結します。まずは自分の発電所が「いつ、どんな点検を受けたか」を確認するところから始めましょう。
よくある質問
Q. 日常点検と定期点検は何が違いますか?
A. 日常点検は設置者自身が行う目視確認、定期点検は専門技術者が行う詳細な点検です。頻度は法律ではなくガイドラインが目安を示しており、住宅用は設置1年目・5年目と9年目以降4年ごと、10kW以上の一般用電気工作物は4年に1回以上とされています。
Q. 点検義務があるのは高圧設備だけですか?
A. いいえ。改正FIT法上の保守点検義務は低圧・高圧を問わず事業用設備全般に及びます。ただし電気主任技術者による法定の保安管理は高圧設備(50kW以上)に別途課される制度です。
Q. 点検を怠るとすぐにFIT認定が取り消されますか?
A. 通常はまず行政指導・改善命令の対象となり、改善が見られない場合に取消に至る可能性があります。ただし放置を続けることはリスクでしかないため、早めの対応が重要です。
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